プロ野球の球団を見渡してみると、ほとんどの球団には親会社があります。しかし、12球団で1つだけ、広島カープは正式な親会社がない球団です。広島市民に勇気と希望を与え続けてきた、独立採算制の球団…それゆえに「市民球団」と呼ばれ、地域に密着してきたのです。しかし、資金力は他球団に比べて劣っている面が強いのも事実。だからこそ、広島カープは若い「金の卵」を発掘し、一流のプロ野球選手に育てていく…それこそが広島カープがプロ野球界で生き残っていくための方法であり、魅力ともなっていったのです。

毎年、シーズンが終わる頃になると、新人選手の獲得のためにドラフト会議が行われます。高校生から社会人まで、その年に各球団のスカウトが密着してきた選手の中から、チームの戦力として必要だと思われる選手を順番に指名していくのです。ドラフト会議は1位指名から始まりますが、やはり上位で指名される選手はアマチュアながら、その素質はすでにマスコミなどでも取り上げられるような注目株も多数います。

一般的にはドラフト会議で球団が上位で指名した選手は、それだけチームの期待度が高くなるため、実際にプロ野球の世界に飛び込んだ後も、試合で与えられるチャンスは多くなる傾向にあります。逆に下位で指名された選手は、チャンスをつかむことさえも難しくなることがしばしばあります。したがって、どうしてもドラフト上位で指名された選手ほど、1軍で主力選手として活躍できる可能性は高いと言わざるを得ません。

しかし、広島カープの一番の魅力は「育成」にあります。あまりアマチュア球界では目立ったなかった存在の選手でも、ドラフトで指名しては、一流選手に磨き上げたということも多々あります。2015年のシーズンで阪神タイガースから広島カープに復帰した新井貴浩選手はドラフト6位の選手でした。また、試合にフルに出場し続けた連続記録を持つ金本知憲選手も広島カープがドラフト4位で指名した選手です。2015年現在、広島カープの監督を務めている緒方孝市選手はドラフト3位、天才的な打撃で、あのイチロー選手も尊敬したといわれる前田智徳選手はドラフト4位で広島カープが指名しました。いずれも、けしてドラフト上位で指名した選手ではなく、広島カープが手塩にかけて育て、一流選手になったのです。

広島カープはプロ野球の世界で生き残り、強いチームと渡り合えるように、選手を一流選手に育てるという「育成」に主眼を置いています。それがカープ女子にとっても大きな魅力となっているのです。つまり、気になる選手がいれば、その選手に注目し、育っていく過程をみていく…これもまた広島カープならではプロ野球の楽しみ方でしょう。若手の頃から注目していた選手が、1軍に昇格し、試合の中で活躍し、いずれはレギュラーをつかむ…まるで親が子どもの成長を見ているかのように、選手の成長を見守れるのは広島カープの魅力でしょう。それがカープ女子にとっては、母性本能をくすぐるのかもしれませんね。