「広島カープと言って、真っ先に思い浮かべることは何でしょうか?」

この質問に対して、最近では「カープ女子」と回答する方も多いでしょう。プロ野球に詳しい方であれば、古くはミスター赤ヘルと呼ばれた山本浩二さんや最近では大リーグから復帰した黒田博樹投手といった具体的な選手を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。

そして、チームカラーの「赤」を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。先ほどチラッと触れた「赤ヘル」もそうですが、広島カープと言えば「赤」のイメージが強いのではないでしょうか。

プロ野球には12球団ありますが、チームカラーとして最も多いのは青系です。中日ドラゴンズや横浜DeNAベイスターズ、オリックスバファローズ、埼玉西武ライオンズは、深い青もあれば鮮やかな青もありますが、青系がチームカラーです。さらには福岡ソフトバンクや阪神タイガースは黄色、読売ジャイアンツはオレンジなどとチームカラーは多彩です。

しかし、赤をチームカラーとしている球団は広島カープだけ。とりわけ青系のチームカラーはどこか男性的なイメージがあるかと思います。プロ野球というスポーツの特性上、チームカラーが男性的な色合いになるのは当然のことかもしれません。それゆえに広島カープのチームカラーである「赤」はプロ野球球団の中では異色の存在であるといえます。

そもそも広島カープのチームカラーは最初から赤だったかといえば、実はそうではありません。球団が創設された1950年から、初優勝を達成する前年の1974年まで、広島カープのチームカラーは紺色だったのです。球団旗が紺地に広島の頭文字である「H」の白い字であることは当時の名残でもあります。

チームカラーが今の赤になったのは1975年のこと。当時、広島カープは日本球界で初のメジャーリーグでの監督経験があったジョー・ルーツ監督でした。ルーツ監督は球団創設以来、優勝がなかったチームに対して、試合に対する勝利への燃える気持ちを前面に出そうと、まずヘルメットの色を赤に変えるよう求めたのです。これが「赤ヘル」の始まりであり、その年、ルーツ監督はシーズン序盤に監督を退きますが、その意志を受け継ぎ、初優勝を果たしました。

こうして、チームカラーは赤となり、広島カープと言えば「赤」…これが定着していったのです。当時はヘルメットだけだった赤も、今ではビジターユニフォームは上半身が赤一色となるなど、選手が着用しているユニフォームのそこかしこに赤が使われています。

12球団唯一の赤のチームカラー。実は他球団にないこのカラーですが、これが女性ファンの増加の1つの要因となりました。ユニフォーム、グッズなど、赤があしらわれることで、かわいさが増し、女性からアイテムがかわいいと高い人気を集めることになったのです。

情熱的で、燃えたぎる赤…戦うチームとして赤をチームカラーとした広島カープですが、女性に好まれる色であったために、カープ女子がカープ女子になるきっかけの1つを作ったともいえます。チームカラーが赤でかわいいから…実はそんなカープ女子も多いのです。