プロ野球の応援といえば、基本的には各球団の応援団が選手それぞれの応援歌などをトランペットを吹き、終わったら、応援している観客が「かっとばせ、○○(選手名)」という…それを繰り返すというのがスタイルなのですが、その基本に各球団がそれぞれにアレンジを加えることで、応援に個性が出てきます。

広島カープの応援スタイルは非常に独特です。いわゆる「スクワット応援」と呼ばれるもので、その名前のとおり、立ったり座ったりを繰り返しながら応援するというものです。その応援スタイルはスタンドにいる周囲の見ず知らずの広島カープファンの方々とも一体感を生みます。試合が終わった頃には、まったく面識がない人と仲良くなった…といったことも、けして珍しくはありません。他球団のファンからも評判が高く、「広島ファンじゃないけど、スクワット応援だけはやってみたい」という方も結構いらっしゃいます。

そもそも、広島カープは応援に関して言えば、パイオニア的な存在でもあるのです。例えば、前述したトランペットを使う、選手ごとの応援歌を作る…今となってはプロ野球のごく当たり前となったシーズン中の日常風景ですが、いずれも1970年代後半以降に広島カープの応援団から始まったとされています。

また、メガホンを使った応援も今では当たり前となっていますが、これも1980年代まで、広島カープのスタンドではしゃもじを使って応援していたことが由来とされています。2つのしゃもじを使ってぶつけ合う音が「カチカチ」と鳴る…これが「勝ち勝ち」につながって縁起が良いとされていたとか。

さらには、プロ野球の試合を見ていると、「ラッキー7」と呼ばれる7回。攻撃する側のチームはジェット風船という細長い風船を一斉に空高く放ちます。当たり前となったこの光景も、元祖は1980年代に関西のカープ応援団が始めたと言われています。

このように、様々な応援スタイルの先駆けが広島カープにはあるのです。そして、今となっては広島カープの応援スタイルとして定着したスクワット応援もまた、その起源は1993年、スタンドで応援していた高校生がしていたとか、泥酔客がしていたとか諸説あるようですが、ファンがしていたちょっとしたことから始まり、20年以上経った今も脈々と受け継がれています。

そんなスクワット応援は、特に決まったルールがあるわけではありません。広島カープの攻撃で打席に立った選手の応援歌がトランペットで演奏されたら、ワンコーラス歌った後、「かっとばせ、○○」と言い、ツーコーラス目以降から立ったり座ったりを繰り返します。立つタイミングなど、役割分担があるわけではありません。自分のペースでスクワットしてみましょう。グループの中で立ったり座ったりを交互に繰り返しても良いでしょう。初めての方でも、周りと同じように真似をすればすぐに溶け込めます。

このスクワット応援は1試合行えば、かなり良い運動にもなります。カープ女子にとってはダイエット効果があるとかないとか…。それはともかく、周りとも一体感が生まれる広島カープのスクワット応援。みんなで一緒にすれば、ますます試合観戦が楽しくなることうけあいです。