真っ赤に染まるスタジアム…今、広島カープが熱い

1991年の優勝を最後に、優勝から遠ざかっている広島カープ。1970年代から1980年代にかけて、いわゆる「赤ヘルブーム」を巻き起こしましたが、最後の優勝以降、長い低迷に苦しんでいます。やはり弱いチームはなかなか人気が出てこず、広島カープは地味で、誰がいるのか分からない…そんな方も多い中で、暗黒の時代が続きました。

しかし、そんな広島カープが少しずつ輝きを取り戻してきたのが、2009年、本拠地がそれまで広島市内のど真ん中にあった広島市民球場から、繁華街からはちょっと離れていますが、広島の玄関口であるJR広島駅に程近いマツダスタジアムに移転したことが、チーム自体の注目度を少しずつ上げてきたのです。

「ボールパーク」という言葉をご存知でしょうか?アメリカの大リーグのスタジアムは、プロの一挙手一投足を臨場感を持って楽しめるようなスタンドの構造になっているだけでなく、「パーク」というフレーズが含まれているように、そこにはアミューズメント性も多分にあります。野球が好きだから足を運ぶ場所…それが野球場ですが、ボールパークは野球だけでなく、そこで食事や遊びも楽しめ、またスタジアム周囲にも賑わいの要素があるため、まさにレジャー空間なのです。

マツダスタジアムはまさにボールパークと呼ぶにふさわしいスタジアムです。女性やお子さん、身体が不自由な方…誰もが楽しめる空間がそこにあります。バーベキュー、フードコート、カフェ、トランポリンや夏には縁日などなど、マツダスタジアムはアミューズメントパークでもあり、「足を運んでみようかな」という空間で、老若男女問わず、人気を集めるようになりました。

そして時代は「カープ女子」へ

マツダスタジアムというハード面が充実したことで、広島カープの試合を観戦する人の数は飛躍的に増えました。また球団は女性ファンを増やす企画を次から次へと打ち出しました。今まではなかなか足を運ぶことをためらっていた広島市民球場。マツダスタジアムに本拠地が移転し、気軽に楽しく観戦できる空間ができたことで、広島カープというチームの魅力を肌で感じてもらいやすくなり、広島カープは女性という新たなファン層を獲得したのです。

広島カープにはプロ野球の他のチーム以上に、その経営は必死です。なぜならプロ野球で唯一の独立企業であるためです。ファンサービスも個性があり、今や顧客満足度も球界ではトップクラスです。マツダスタジアムのオープン、そしてファンサービス、さらには広島カープの選手の育成を主眼に置いたチーム方針、そしてチームカラーの赤…様々な要素が重なって、カープ女子と呼ばれる女性ファンが急増したのです。今ではオールスター戦に多数の広島カープの選手が人気投票で出場するようになったカープの魅力とは何か、何が女性を引き付けるのか迫ってみたいと思います。

カープ女子が待ちわびる…それはやっぱり優勝&日本一!

プロ野球が好きで、特定のお気に入りのチームがあるという方もたくさんいらっしゃるでしょう。そういった方々がそのチームに対して願うこと…それは勝利であり、優勝であり、そして日本シリーズ制覇でしょう。好きなチームがプロ野球チームが優勝を決め、監督の胴上げがあり、そして選手たちの喜びがあふれるビールかけを見る…そのチームのファンで良かったと喜びに浸れるひとときでもあります。

近年、「カープ女子」効果で一躍人気が高まっている広島カープですが、カープ女子をはじめ、広島カープファンも誰もが優勝を願っています。プロ野球のファンも中でも、とりわけ広島カープファンは優勝を最も首を長くして待っているのです。

広島カープがセリーグの一員となったのは1950年のこと。チームが誕生した当初は選手を集めることにも苦労し、さらに資金も非常に厳しいものでした。球団が誕生したのは良いものの、チームも連敗続きで、しかも遠征する費用すら工面できなくなりそうなときがあるほど。すぐさま球団消滅、他球団との合併といった話が浮上してくるほどでした。

その中で広島市民は世界で初めての原爆投下の被害を受けた都市…傷が癒えない広島の街を元気にしてくれる広島カープの存在は非常に尊いものでした。それゆえ広島市民は球団存続を訴えるため、大きな樽を用意し、その中に少しでも足しになればと募金をしたのです。

球団創成期にそれだけの紆余曲折があり、優勝からも遠ざかるシーズンが長く続く中、広島カープは1975年、ついに悲観の優勝を達成します。球団創設から25年目のことでした。山本浩二選手や衣笠祥雄選手らの活躍と、この年から誕生した赤いヘルメット、いわゆる「赤ヘル」によって、広島カープはついにセリーグ制覇を果たし、空前の赤ヘルブームを日本中に巻き起こしました。

それ以来、広島カープは1979年、1980年、1984年、1986年、そして1991年と通算6度の優勝を決め、また1979年、1980年、1984年は日本シリーズを制覇し、広島カープはまさに黄金時代を築いたのです。

しかし、1991年の優勝以来、広島カープは長い暗黒の時代を迎えます。10年以上の長きにわたって、セリーグで4位以下に沈む、いわゆるBクラスの常連ともなりました。2013年にようやく3位に入り、クライマックスシリーズ(CS)にも初出場を果たしましたが、まだ優勝にはいたっていません。

プロ野球全体を見渡しても、2005年に新しく誕生した東北楽天ゴールデンイーグルスが2013年にマー君こと田中将大投手の活躍などでパリーグ制覇、そして日本一を達成したことで、広島カープは今や最も優勝から遠ざかっているチームになっています。

カープ女子というフレーズが流行していますが、20代以下の広島カープファンは優勝すら見たことがない、記憶にない…そんな方がほとんどであり、広島カープは毎年のように下位に沈んでいるチームというイメージしかないでしょう。だからこそ広島カープファンにとって、選手たちが喜びを爆発させる胴上げの瞬間を待ちわび、毎年のように「今年こそは」と期待し、応援を続けているのです。

選手とファンの距離が近い!その近さにカープ女子メロメロ

プロ野球選手って、やはりスター選手となると雲の上の人で、ちょっとやそっとでは近づくことができない…そんなイメージが強いかと思います。確かに読売ジャイアンツや阪神タイガースといった人気球団ともなれば、なかなか選手にお近づきになるというのは難しいものです。球場に足を運び、試合を観戦したとしても、お気に入りの選手は米粒ほどの大きさにしか見えず、背番号がなければ、肉眼では誰かを判別することすら至難の業かもしれません。

近年はプロ野球界もだいぶ様変わりし、選手とファンが接する機会も以前に比べると格段に増えてきました。球団によって、その機会が多いか少ないかには差がありますが、北海道や東北、九州など地域に密着した球団が多いパリーグはファンとのふれあいを大切にしているチームも多いのです。セリーグではやはり地元球団の先駆けとも言える存在の広島カープでしょう。ファンや地元の方々との交流を大切にし、選手をより身近に感じることができる球団であり、カープ女子も思わずメロメロになってしまうような機会が多いのです。

マツダスタジアムの内野席は非常に傾斜が緩く、それだけグラウンドの高さとほぼ同じ感覚で試合を観戦することができます。スタジアムに奥行きを感じられるため臨場感抜群なのです。また、攻守交替のインターバルなどを利用して、バックスクリーンのモニタにスタンドの光景が映し出され、最後にアップで映し出された人が、その試合に広島カープが勝利したときに、ヒーローインタビューに登場した選手と写真撮影ができるという企画もあります。間近で選手が見られるだけでなく、すぐそばで写真撮影や握手もできてしまうのです。

さらに毎年、シーズンオフの11月下旬にはマツダスタジアムでファン感謝デーというイベントが開催されます。ここでは抽選にはなりますが、選手とキャッチボールができたり、サインがもらえたり、記念撮影ができたりと、選手と触れ合える企画が例年盛りだくさんです。この距離の近さは、野球好きのお子さんだけでなく、カープ女子にとっても飛び上がりたいくらい嬉しさと驚きで満ち溢れることでしょう。

さらに、広島カープのお膝元である広島では、シーズンオフの11月から12月にかけて、ショッピングセンターや小学校などでトークショーや野球教室などが行われます。実際に選手が現地に出向いて、普段は聞くことができないプライベートな話も飛び出すなど、選手の意外な一面を垣間見ることができます。また、広島県内ではテレビコマーシャルやローカルのバラエティー番組やラジオ放送などにも、広島カープの選手は引っ張りだこです。シーズンオフにも広島では広島カープの選手たちの生の声を聞くことができるだけでなく、素顔の選手たちを味わえます。最近ではカープ女子など、広島カープ人気もあって、東京都内でも広島カープのイベントが行われるようになり、広島県外でもカープの選手との距離の近さを感じることが出来るのです。この距離感も広島カープの大きな魅力なのです。

日南&沖縄!南国気分でカープの魅力にどっぷり浸かる

プロ野球界は例年、秋はシーズンが終わった11月頃から、春はまだ肌寒い2月1日から、キャンプを張って、ひたすらトレーニングや練習に励みます。いずれも寒い時期であるために、どの球団も身体を動かしやすい温暖な気候の地域でキャンプを行います。

広島カープも例外ではなく、例年、秋のキャンプは宮崎県日南市で行っています。また春のキャンプは近年、秋と同じく宮崎県日南市にスタートを切りますが、2月中旬からは日南市に居残りしてキャンプを続けるチームと、さらに暖かい沖縄県沖縄市で他球団との練習試合を交えながら鍛練を続けるチームの二手に分かれます。

宮崎県日南市でのメインのキャンプ地は日南市内にある天福球場です。宮崎県の県庁所在地である宮崎市の南に位置し、JR日南線の油津駅が最寄りとなります。駅からほどなくして天福球場があります。冬でも温暖で、雨が少ないという地理的な特性もあり、広島カープは1963年から50年以上にわたって、この球場をキャンプ地としています。

天福球場でのキャンプはもちろん見学することが可能です。日頃のテレビ中継や試合観戦では見ることができない練習に打ち込む姿や時には選手同士で笑いあっている姿などを間近で見ることができます。

また、日南市内の商店街を、天福球場に向かうために自転車やランニングで移動する選手もちらほら見かけることもできます。あくまでもウオーミングアップで練習中なので、けして邪魔をしないような配慮が必要です。球場内ではサイン会を開かれることもあり、練習が終わって宿舎に引き上げる際にはサインや握手に応じてくれる選手もいます。カープ女子にとっては憧れの選手に直に触れることができるチャンスとも言えるでしょう。

一方で、春のキャンプが行われる舞台の1つが沖縄県沖縄市にある沖縄市野球場(コザしんきんスタジアム)です。2014年に改築工事が完成し、キャンプを行っている広島カープの本拠地・マツダスタジアムとほぼ同じ広さのグラウンドを持つ球場に生まれ変わりました。那覇空港からレンタカーを利用しても、ハイウェイバスを利用しても、沖縄自動車道の沖縄南インターチェンジからすぐの場所にあります。

沖縄でのキャンプは1軍のメンバーが中心となります。その年の広島カープがどういった選手たちでシーズンを戦おうとしているのかが把握できるだけでなく、カープ女子にとっては主力選手を間近でチェックできるチャンスでもあります。

このように広島カープのキャンプは、ファンと選手との距離が非常に近いのも大きな特徴です。球場周辺や宿舎との行き来で選手を見かけることもあります。間近で選手をチェックするには格好のチャンスともいえます。

また、宮崎といえば地鶏や宮崎牛など名物が盛りだくさんです。さらに沖縄は世界に誇る青い海とさんご礁、そして独特の文化や沖縄料理が楽しめます。広島カープのキャンプを訪れるときは、ぜひこういった名物も一緒に味わってみてはいかがでしょうか。キャンプがより楽しく、内容の濃い時間が過ごせること間違いありません。

トキメキの連続!スタジアムまでの道中のカープ一色!

スタジアムそのものがまるでアミューズメントパークのような広島カープの本拠地・マツダスタジアム。もちろんマツダスタジアムは広島カープが誇る最高のコンテンツの1つであり、選手たちにとっては最高の舞台です。しかし、マツダスタジアムの魅力はこれだけではなく、実はJR広島駅からマツダスタジアムにいたるまでの道中も広島カープの魅力が詰まっています。

JR広島駅に降り立ち、コンコースを歩いていると、やはりそこかしこに広島カープの文字やキャラクターが目に入ります。広島県外から広島を訪れると、広島のカープに対する人気や情熱が肌で感じられることでしょう。JRの車両の中には、シーズン中限定で広島カープのキャラクターである「カープ坊や」やマスコットである「スラィリー」などがカラフルにあしらわれたカープラッピングトレインを見かけることがあります。わずか1編成のみだけに、見かけたらラッキーでしょう。

また、広島市内には縦横無尽に路面電車が走っています。この路面電車の中には広島カープのロゴやキャラクターが描かれた車両もあります。そう、マツダスタジアムを訪れる際の最寄り駅であるJR広島駅から、広島カープ一色であり、カープファンの心をワクワクさせてくれるのです。

そんなJR広島駅からマツダスタジアムまでは、JR山陽本線に沿った道路を道なりに進んでいくのですが、その道中にも一層ワクワク感が高まる仕掛けがあります。

道なりに広島カープの監督やコーチ、そして選手のプロフィールや一口メモが紹介されている看板が出迎えてくれます。1人につき1枚ずつ、その看板はマツダスタジアムの正面玄関近くまで連なっています。お気に入りの選手の看板をチェックするもよし、今の選手たちの見所を確認するもよし。それだけでも楽しめることでしょう。

また、マツダスタジアムまでの道中には、あの青い看板で有名な大手コンビニが、広島カープのチームカラーである赤い看板で出迎えてくれます。日本中に数多くの店舗があり、私たちの日常生活でも欠かせない存在となっているこの大手コンビニですが、赤い看板なのは、日本にはマツダスタジアム周辺の2軒しかないとてもレアなものなのです。しかも、店内は通常の商品に加えて、カープグッズまで販売しているので、カープ女子にとっても垂涎の的なのです。

さらには、マツダスタジアム周辺には広島カープに在籍し、多くの功績を残した選手たちの手形もあります。また、2015年にはプロ野球12球団の最後になりましたが、雨の日でも練習ができる屋内練習場が完成しました。これもマツダスタジアム周辺に建設され、新しい広島カープの名所となっています。

このようにマツダスタジアムまでの道中は、単なるアクセス道路ではありません。確かに一見すれば、たいして広い道でもなく、周囲に店舗が並んでいるというわけでもありません。試合がない日は人通りも少なく静かな道でもありますが、広島カープ色が非常に強いのが特徴です。JR広島駅前は再開発が進み、ますますその景色は変わっていくでしょう。遠方から応援に来られる方にもアクセスが分かりやすいマツダスタジアム。その道中の魅力にもぜひどっぷり浸かってみてはいかがでしょうか?